がんなどの器質的な疾患が原因でない機能性便通異常の中で、最もよく遭遇する疾患が「過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)」です。
症状は、腹痛・腹部不快感と便通異常(下痢・便秘)を長期間持続もしくは悪化・改善を繰り返していきます。日本における成人のISB有病率は12.5%との報告があり患者数は約1,200万人と推定されます。若年層に多く男性では下痢型が多い傾向があります。
通勤や通学途中、あるいは大事な会議や試験の前、生活環境の変化などから急におなかが痛くなったり、下痢のためにトイレに駆け込んだ経験はないでしょうか。もしこうした症状が長期間にわたって続くようであればIBSの疑いがあります。ストレスに腸が過敏に反応して便通異常が起こる疾患です。ストレス社会における現代病のひとつといわれており、先進国に多い病気です。
IBSのタイプは下痢型・便秘型・混合型・その他に分けられます。多くの場合、ストレスによって症状が誘発されるため、さまざまな症状が現れます。おなかの症状以外に精神症状(不眠、不安感、抑うつなど)や全身症状(頭痛、めまい感、疲れやすい、肩こりなど)が出ることもあります。
診断に重要なことはあくまでも器質的な疾患が原因でないということです。とくに大腸がんや炎症性腸疾患を否定する必要があります。そこでアラームサインに気をつける必要があります。
アラームサインとしての病歴として
① 50歳以上
② 大腸器質的疾患の既往歴または家族歴
③ 急激な体重減少
④ 発熱、関節痛、皮疹
⑤ 粘血便や便潜血陽性
⑥ 夜間就寝中の症状発現 などがあります。
治療は「ライフスタイルの改善」「薬物慮法」「心理療法」となります。ライフスタイルの改善で重要なことは決まった時間に3食をしっかりとることです。特に朝食は抜かずにしっかりとりましょう。十分な休息・睡眠をとり、ストレス解消に心がけましょう。薬物療法はいろいろな薬剤が使われます。
下痢・便秘を繰り返すようであれば早めに医師に相談してみて下さい。
腹腔鏡をご存知ですか。
昔はおなかの手術といえば開腹手術でよく冗談で「切腹された」という人がいました。確かに上下左右はちがいますが、胃がんの手術では「みぞうちのあたりからへそ下まで数十センチの傷」になります。傷が大きくなればなるほど手術後の痛みや合併症が多くなります。
できるだけ小さな傷で手術をする方が患者さんにとっては侵襲が少なくてすみます。そこで腹腔鏡というカメラを使っておなかの中をテレビモニターに映し出し手術をすることが考えられました。それが腹腔鏡下手術です。はじめは胆石の手術によく使われていましたが、最近はあらゆる手術に使われるようになってきています。
消化器外科領域では食道がん、胃がん、大腸がんの手術にも使われはじめています。
しかし高度な技術を必要としますのですべて腹腔鏡下手術ができるとは限りません。また、日本内視鏡外科学会ではできるだけ安全に手術が行われるように技術認定をおこなっています。
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ゴールデンウィークの休診日は
4/29 4/30 5/3 5/4 5/5 5/6 5/7
です。
高血圧治療ガイドライン2009が今年の1月に発表されました。
そのなかで家庭血圧の重要性が推奨されています。
ご家庭での血圧の測り方ですが、次のことが推奨されています。
①装置は上腕カフ・オシロメトリック法に基づく装置
②測定時の条件
必須条件
a.朝 起床後1時間以内:排尿後で朝の服薬前・朝食前に座位で1-2分安静後
b.晩 就寝前に座位で1-2分安静後
選択条件
夕食前、夕の服薬前、入浴前、飲酒前など
参考にしてください。
検診や人間ドックの胃レントゲン検査(バリウム検査)で胃ポリープを指摘されることがあります。
ポリープとは一般的には胃粘膜から隆起(盛り上がって)している良性腫瘍(できもの)ですが、バリウム検査では粘膜から盛り上がっていることはわかってもそれが正確に良性であるかはわかりません。早期胃がんでは隆起しているタイプ(0-Ⅰ、0-Ⅱa)もあります。すなわちバリウム検査での胃ポリープは癌の恐れのないポリープから早期がんまで含まれている可能性があります。そこで二次検査(俗にいう胃カメラ)が必要となります。
内視鏡検査では肉眼的(見た目)にある程度、早期胃がんかポリープか判断できますが、最終的には生検による病理組織診断によります。それで今後の治療方針が決まります。
また、ポリープでも胃腺腫・過形成ポリープ・胃底腺ポリープなどに分類できます。年一回の検診でいい場合や厳重な経過観察が必要な場合もありますのでよく主治医と相談された方がいいでしょう。
また、毎年毎年ポリープと言われたからといって内視鏡検査を受けないことはお勧めできません。なぜならちがう病変をたまたま発見されることがあるからです。いずれにせよせっかく健康診断を受けたのですから無駄にしないでください。
食道は大きく分けて頚部食道、胸部食道、腹部食道と分かれていますが、がんはいずれの場所にもできてきます。
特に頚部食道がんは解剖学的に特徴のあるがんです。
すなわち喉頭(声帯)に近く耳鼻科領域のがんに近くなります。治療によっては声を失う可能性もあります。そこで治療には集学的治療すなわち手術だけではなく放射線治療、化学療法を組み合わせた患者さんひとりひとりにあったオーダーメード治療が必要です。
たとえば声を失わない喉頭温存手術を行うために術前放射化学療法を用いる場合もあります。
手術はとても高度な技術が必要で、専門施設での治療をお勧めします。
日本食道学会で食道疾患を扱う施設が公表されています。
http://www.esophagus.jp/link/link_search_index.html
逆流性食道炎とは、胃から分泌される胃酸が、食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激し傷つけることで起こる炎症をさしますが、症状はあっても炎症の所見が見られないこともあります。近年では胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)(Gastroesophageal Reflux Disease:GERD)という概念で捉えられることが多いようです。
ひらたく言うと「お酒の飲みすぎの深夜におえっとなることがあります」が、それがそうです。ただ飲みすぎただけではなくいろいろなことでおこしてきます。
症状はむねやけ、口のなかに胃酸があがってきてすっぱい、のどの違和感やつかえた感じなどです。胃酸の逆流だけではなく十二指腸から分泌される胆汁酸の逆流によることもあります。
知らず知らずのあいだに逆流したものを誤嚥してしまい治りにくい咳の原因となっていることもあります。
検査は内視鏡検査で食道粘膜の炎症の程度を調べます。胃・食道がんの症状にも似ていますので、症状が続く場合などはぜひ内視鏡検査をお勧めします。
一般的な薬物療法では、胃酸を抑える目的で、最も効果が強いプロトンポンプ阻害薬(-そがいやく)Proton Pump Inhibitor: PPI の投与が選択され、場合によってはH2ブロッカーを使用あるいは併用します。消化管運動賦活薬なども併用されることがあります。
なおりにくい むねやけ、ゲップをかるく見ないようにしてください。