腹腔鏡下手術

腹腔鏡をご存知ですか。

昔はおなかの手術といえば開腹手術でよく冗談で「切腹された」という人がいました。確かに上下左右はちがいますが、胃がんの手術では「みぞうちのあたりからへそ下まで数十センチの傷」になります。傷が大きくなればなるほど手術後の痛みや合併症が多くなります。

できるだけ小さな傷で手術をする方が患者さんにとっては侵襲が少なくてすみます。そこで腹腔鏡というカメラを使っておなかの中をテレビモニターに映し出し手術をすることが考えられました。それが腹腔鏡下手術です。はじめは胆石の手術によく使われていましたが、最近はあらゆる手術に使われるようになってきています。

消化器外科領域では食道がん、胃がん、大腸がんの手術にも使われはじめています。

しかし高度な技術を必要としますのですべて腹腔鏡下手術ができるとは限りません。また、日本内視鏡外科学会ではできるだけ安全に手術が行われるように技術認定をおこなっています。

 

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腹腔鏡下手術

 

ご家庭での血圧の測り方

高血圧治療ガイドライン2009が今年の1月に発表されました。
そのなかで家庭血圧の重要性が推奨されています。
ご家庭での血圧の測り方ですが、次のことが推奨されています。

①装置は上腕カフ・オシロメトリック法に基づく装置
②測定時の条件 
必須条件
a.朝  起床後1時間以内:排尿後で朝の服薬前・朝食前に座位で1-2分安静後
b.晩  就寝前に座位で1-2分安静後
選択条件
夕食前、夕の服薬前、入浴前、飲酒前など

参考にしてください。

健康診断で胃ポリープと言われたら

検診や人間ドックの胃レントゲン検査(バリウム検査)で胃ポリープを指摘されることがあります。

 

ポリープとは一般的には胃粘膜から隆起(盛り上がって)している良性腫瘍(できもの)ですが、バリウム検査では粘膜から盛り上がっていることはわかってもそれが正確に良性であるかはわかりません。早期胃がんでは隆起しているタイプ(0-Ⅰ、0-a)もあります。すなわちバリウム検査での胃ポリープは癌の恐れのないポリープから早期がんまで含まれている可能性があります。そこで二次検査(俗にいう胃カメラ)が必要となります。

 

内視鏡検査では肉眼的(見た目)にある程度、早期胃がんかポリープか判断できますが、最終的には生検による病理組織診断によります。それで今後の治療方針が決まります。

また、ポリープでも胃腺腫・過形成ポリープ・胃底腺ポリープなどに分類できます。年一回の検診でいい場合や厳重な経過観察が必要な場合もありますのでよく主治医と相談された方がいいでしょう。

また、毎年毎年ポリープと言われたからといって内視鏡検査を受けないことはお勧めできません。なぜならちがう病変をたまたま発見されることがあるからです。いずれにせよせっかく健康診断を受けたのですから無駄にしないでください。

頚部食道がん

食道は大きく分けて頚部食道、胸部食道、腹部食道と分かれていますが、がんはいずれの場所にもできてきます。

 

特に頚部食道がんは解剖学的に特徴のあるがんです。

すなわち喉頭(声帯)に近く耳鼻科領域のがんに近くなります。治療によっては声を失う可能性もあります。そこで治療には集学的治療すなわち手術だけではなく放射線治療、化学療法を組み合わせた患者さんひとりひとりにあったオーダーメード治療が必要です。

たとえば声を失わない喉頭温存手術を行うために術前放射化学療法を用いる場合もあります。

手術はとても高度な技術が必要で、専門施設での治療をお勧めします。

 

日本食道学会で食道疾患を扱う施設が公表されています。

http://www.esophagus.jp/link/link_search_index.html

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃から分泌される胃酸が、食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激し傷つけることで起こる炎症をさしますが、症状はあっても炎症の所見が見られないこともあります。近年では胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)(Gastroesophageal Reflux DiseaseGERD)という概念で捉えられることが多いようです。

 ひらたく言うと「お酒の飲みすぎの深夜におえっとなることがあります」が、それがそうです。ただ飲みすぎただけではなくいろいろなことでおこしてきます。

 症状はむねやけ、口のなかに胃酸があがってきてすっぱい、のどの違和感やつかえた感じなどです。胃酸の逆流だけではなく十二指腸から分泌される胆汁酸の逆流によることもあります。

知らず知らずのあいだに逆流したものを誤嚥してしまい治りにくい咳の原因となっていることもあります。

 検査は内視鏡検査で食道粘膜の炎症の程度を調べます。胃・食道がんの症状にも似ていますので、症状が続く場合などはぜひ内視鏡検査をお勧めします。

 一般的な薬物療法では、胃酸を抑える目的で、最も効果が強いプロトンポンプ阻害薬(-そがいやく)Proton Pump Inhibitor: PPI の投与が選択され、場合によってはH2ブロッカーを使用あるいは併用します。消化管運動賦活薬なども併用されることがあります。

なおりにくい むねやけ、ゲップをかるく見ないようにしてください。

 
 
 
 
 
 
 

 

胃瘻

皆さんは胃瘻をご存知でしょうか。
人が栄養をとるには口から食べ物をとるのは当然です。しかし、何らかの理由で食事ができなくなる場合があります。
一時的に胃腸の機能が低下したり、手術後で食事ができない場合は点滴で血管内から水分や栄養をとります。
脳梗塞の後遺症など長期間になる場合は点滴では限界があります。次の方法としては経腸栄養法があります。鼻から胃まで細いチューブを入れてそこから栄養剤を流しこみます。これも限界があり誤嚥のリスクもあがります。そこで最終的には内視鏡をもちいて胃に直接チューブを入れる方法が内視鏡的胃瘻造設術(PEG)です。胃瘻が安定するまで1週間ほどかかりますが、それ以降は腹部のチューブから栄養剤を注入できます。

内視鏡が入るリスクはありますが、栄養管理は楽になります。自宅での栄養剤の注入も可能です。口からの食事もできればかまいませんし、入浴も普通にできます。なによりも鼻から通るチューブの違和感なくことが患者さんにとって最大のメリットです。
3~4ヶ月ごとに胃瘻チューブの交換が必要となりますが、入院の必要もなく外来でできます。

ごく早期の食道がん・胃がんの治療

 がんといえばすぐに切って(手術)しまうと思われがちですが、近年医療技術や器具の進歩によりごく早期のがんに対して手術なしで治療することが可能となりました。
それが内視鏡的粘膜切除術(EMR)です。

 経口内視鏡の先に特殊なキャップをつけてその先に電気が流れるわっか状の針金を付けます。
その内視鏡を挿入し、特殊な針で病巣部(がん)の粘膜下に液体を注入し浮き上がらせます。
そこに先ほどのキャップを押し付けて吸い込み針金でねもとをしめます。電気メスのように粘膜だけを切り取ります。
 通常の内視鏡検査より多少時間がかかりますので静脈麻酔薬でボーとさせながら行います。腫瘍の大きさ・場所にもよりますが、1時間ほどで終了します。
合併症としては出血・穿孔などがありますが、ほぼ保存的に軽快します。

 施設により多少方法が違ってきますので詳細は行っている施設で聞かれることをおすすめします。

胃カメラについて

 胃カメラはどうしても苦痛であるイメージがあります。実際、私も何年か前にカメラをした経験があります。ベテランの先生にお願いをしたのですが、それでもある程度苦痛でした。この苦痛をかるくするために鎮静剤による麻酔を行うこともありますが、やはり偶発事故のリスクが高くなります。

 バリウムによるレントゲン検査も経験していますが、やはりゲップを我慢したりレントゲン台の上を上下左右うごきまわったりして大変でした。あとのバリウム便もなんぎです。この数年の内視鏡のシンポでかなり細くなり、解像度もよくなりました。メリットとして「嘔吐感がすくない」「苦痛がすくない」「話せる」「麻酔事故のリスクがすくない」などです。患者さんにとって一番やさしい胃の検査だと思われます。

 たまに狭い空間である鼻腔内をとおるため、鼻血がでたり痛みがあることもありますが、すぐによくなります。かなり低い確率で鼻がとおらない人もいています。

 しかし、鼻からの内視鏡検査を受けた患者さんのアンケート結果では95%の患者さんが今後も鼻からの内視鏡検査を希望すると答えられました。

 「胃の調子が悪い」「むねやけがする」などの症状が薬でよくならないときには早めの内視鏡検査をおすすめします。

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