食道癌
1. 食道について
食道は口腔(咽頭)と胃をむすぶ管状臓器で25cmほどの長さがあります。
食道では消化吸収はおこなわれず、食物を胃まで運ぶ働きをしています。上から頚部食道、胸部食道、腹部食道に分けられ(図1)、食道壁は4層からなり内側から粘膜層、粘膜下層、固有筋層、外膜と呼ばれています。
2. 食道癌の発生について
食道粘膜から食道癌が発生し、病理組織で扁平上皮癌と腺癌とに分けられますが、日本では、ほとんどが扁平上皮癌です。
症状は、進行癌では嚥下困難(食物が飲み込みにくい)や、通過障害(食物がつまる感じ)が生じます。一方、早期癌ではほとんどが無症状で、食物が通る時に胸がしみる感じ、異和感など軽度のものがほとんどです。
3. 食道癌の進行について
食道癌は壁を粘膜層から徐々に外側(深層)に浸潤していきます(図2)。
主な転移には2経路があります。1つ目はリンパ節転移で所属リンパ節(癌に近いリンパ節)から遠くのリンパ節に転移していく経路です。2つ目は血行性(血流にのって)の転移で主に肝臓、肺、骨、脳などがあります。CTスキャン、MRIなどの検査が行われ、これら浸潤の程度や、転移が有る無しで治療方針が異なります。食道癌の進行度は日本食道癌学会により、左図のようになっています(図3)。
4. 食道癌の治療方法
現在、食道癌ではその進行度により様々な治療方法があります。2002年に日本食道疾患研究会から治療ガイドラインが発行されました。当科でも消化器内科、腫瘍内科、放射線科との合同検討会を行い、患者さん一人一人に最良な治療方針を、治療ガイドラインに添うかたちで決定しています。