ワルファリンと胃内視鏡検査

近年、不整脈とくに心房細動の塞栓症予防のために抗凝固療法が注目されています。

非弁膜性心房細動の患者さんは一般の人より約5倍の塞栓症リスクがあるようです。塞栓症で代表的なのは脳梗塞すなわち脳卒中です。それを予防するために抗凝固療法が行われます。すなわち血液を血管内で固まりにくくします。その代表の薬剤がワルファリンです。

 

そこで問題になるのは抜歯や内視鏡での生検など出血をともなう処置を行うときです。以前は何日か前に内服を止めて抜歯や内視鏡検査をしていました。最近の研究で、急にワルファリンを中止した患者さんの中で約1%の人に重篤な脳梗塞をおこすことがわかりました。そこで抜歯は外部からの圧迫止血ができるのでワルファリンをとめずに行うことが奨励されています。

内視鏡検査での生検は止血操作が困難な場合がありますので、各施設でいろいろ意見が分かれるところです。肉眼でもある程度、胃潰瘍か胃癌かは判断がつきますが、最終診断はやはり病理組織検査に委ねられます。

当院の基本的な方針は通常の胃内視鏡検査はワルファリンはとめずに行い、どうしても生検が必要な場合は、後日内視鏡センターなどがある病院において手術に準じた方法で行うように依頼するのが最良だと考えています。

Comments are closed.

Copyright © 2011 消化器内視鏡検査/セカンドオピニオンの平井医院|大阪府和泉市 HIRAI CLINIC. All Rights Reserved.