EMRとESDについて

以前に早期胃癌の治療で内視鏡的粘膜切除術(EMR)についてお話をしましたが、その欠点はスネアというループ状の針金をまいて電気的に焼き切るので、スネアの大きさを超えるような大きな病変は一度には取りきれないことでした。何回かに分けて切除すると採った病変が複雑になりどこにどのように癌があったか不確実になります。癌がとりきれたのか残っているのかの判定も難しくなります。

そこで考えられたのが内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)です。特別な機械が開発され大きな病変を一度に切除できるようになりました。粘膜下層に液体を注入して病変を浮き上がらせて切除するのはEMRと同じですが、切除する道具がちがいます。電気的なナイフのような機械でそり落とすようなイメージです。これにより早期胃癌の内視鏡的な治療の適応範囲が広がりました。

7月14日は何の日

7月14日は何の日かご存知ですか?

2006年7月、内視鏡医学研究振興財団が日本記念日協会より認定を受けて毎年7月14日は「内視鏡の日」と制定されました。「714」で「ないし」となります。その目的は内視鏡が検診・治療において重要性が増してきた現在、その普及に寄与していくことです。

今年の内視鏡の日の前に2008年に実施したインターネット調査の結果が発表されました。

アンケートに答えた成人男女1万2577人のうち、上部消化管内視鏡検査は約4割、大腸内視鏡検査は約2割が「受けてことがある」と答えたそうです。

対象の年齢層は男性では40代が、女性では30代がもっとも多く上部内視鏡検査では年齢層が上がると受診率が高くなり60・70歳以上では約7割が検査を受けたことがあると答えたそうです。全体では受けたことがある人は約4割だったそうです。

鼻カメラの普及により受診率が上昇することを期待します。

ワーファリンと食事について

高齢者の心房細動などによる血栓(塞栓)予防にワーファリンが推奨されるようになり、使用頻度も多くなりました。つまり血液を固まりにくくする薬です。

心房細動の患者さんは心房がプルプル震えて心房内の血液の流れがとどこおり血液の塊が作りやすい状態になっています。その血液の塊が血流にのり、流れ出して脳の血管につまると脳梗塞になるわけです。

その作用は肝臓でビタミンK依存性凝固因子を抑制することで血液を固まりにくくします。その作用が効果的にはたらいているか(薬が効いているか)を知るために血液検査が必要です。血中のPT-INRという数値をはかります。この数値が小さいと固まりやすく大きいと固まりにくいということになります。患者さんの状態にもより違いますが、たいていは1.6~2.6のあいだでコントロールされます。

薬の量により調節されますが、食事の内容によっても変わってきます。ビタミンK依存性凝固因子を抑制することで血液を固まりにくくしていますのでビタミンKを多く含む食品を大量に食べたりするとワーファリンが効きにくくなります。

特に納豆、青汁、クロレラに多く含まれていますので、これらは食べないでください。

緑黄色野菜・海藻類にも含まれていますが、これらをまったく食べないことは栄養上よくありませんので毎日一定量をとるようにして一時的に過食することは避けてください。

休診のお知らせ

727日(月)~81日(土)

夏季休暇とさせていただきます。

骨粗鬆症とは

老化やカルシウム不足、運動不足などにより骨量が減少して骨がスカスカになりもろくなる病気です。時に背骨や股関節などの骨が折れることがあります。

年をとってくると身長が減ってきますが、年に1cmも縮んでくるときは注意が必要です。

高血圧の治療の目的は将来に脳卒中などの危険性をできるだけ少なくすることです。同じように骨粗鬆症の治療の目的は将来の骨折の危険性を少なくすることです。

すなわち高齢者では骨粗鬆症による骨折や背中や腰の激痛で寝たきりや介護の必要な生活になってしまうことがあります。

骨を強くするためにはバランスのいい食事と適度な運動に心がけましょう。また、日光浴もいいようです。薬としては骨の破壊を抑える薬と骨の材料を補う薬があります。

PEG:ペグ(経皮内視鏡的胃瘻造設術)とは

経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG:ペグ)とは内視鏡をもちいて胃瘻を造ることです。

一般的に必要な栄養を自力では摂ることができない場合に適応があります。たとえば脳卒中や神経疾患で食事が飲み込めない時や高齢で誤嚥性肺炎を繰り返す場合などです。
内視鏡を使用して胃瘻チューブを挿入します。方法にはいくつかありますが、経口的に内視鏡を挿入し腹壁から胃内に針をさして器具を引き抜く方法や突き刺す方法があります。
また、鼻カメラでも胃と腹壁を何針か固定することで可能です。

利点は中心静脈栄養(ある程度太い血管にチューブを挿入し輸液する方法)や鼻から胃までチューブを挿入して行う経腸栄養の苦痛や拘束から開放されリハビリテーションを積極的に行えます。在宅での管理も比較的簡単で入浴も可能です。

考えられる施行時の偶発症としては出血、腹膜炎などがあります。お腹から針を胃まで刺すのですから胃周囲の血管などが傷ついて出血することがあります。胃のほかに小腸や大腸が傷つき腹膜炎を起こすことがあります。いずれもひどい時は緊急手術になることもあります。しかし報告では約4%にすぎません。
造設後の合併症として胃瘻の周囲皮膚炎やチューブの位置異常、自然抜去などがありますがいずれも重篤ではありません。

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