第17回 日本乳癌学会学術総会

第17回 日本乳癌学会学術総会が
2009年7月3日(金)~7月4日(土)までホテル日航東京で行われます。

学会ホームページ

http://www2.convention.co.jp/17jbcs/

プリン体って

プリン体は細胞の核に含まれるDNAの主成分でエネルギー伝達物質のもとになる大切な物質です。
細胞の核に存在するので、ほとんどすべての食品に含まれ、細胞数の多い食品ほどプリン体の含有量が多いといえます。
プリン体は肝臓で分解されると、老廃物として尿酸が生じます。尿酸は血液中に一定量存在し、余分なものは便や尿中に排泄されますが、一定の濃度を上回ると血中に溶け切れなかった分が結晶化して沈着します。
尿酸値が高い状態が続き高尿酸血症になると腎臓や尿路に結石ができたり、関節が痛む痛風が引き起こされます。
アルコール類の中でビールや発泡酒は特にプリン体が多く含まれています。それは麦芽の中にプリン体が多く含まれているからです。低アルコールビールやプリン体カットの発泡酒が売られていますが、実際のプリン体の量はメーカーに聞くといいかもしれません。

高血圧の話

高血圧の勉強会で興味深い話がありました。
第32代アメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトのヤルタ会談での血圧が300/170mmHgあったそうです。しかし当時は有効な降圧剤など無くそのまま放置されていたそうです。その後、彼は1945年4月12日に脳卒中で死亡したそうです。
このことから高血圧の治療は心血管系イベント(脳卒中や心筋梗塞など)の抑制のために必要であると考えられています。
健診などで血圧が高いと指摘された方は放置せずに主治医と相談してください。

鼻カメラは見落としやすい?

内視鏡の技術進歩によりファイバースコープが細くなり鼻腔内から挿入できるようになりました。鼻カメラの欠点として病変が見づらいことがあります。そこで細くなると問題になるのは照明度と解像度です。

照明度は明るさで車のヘッドライトのように大きければ明るく小さければ暗くなります。すなわち鼻カメラの光源は小さくなるので暗くなりますが、技術進歩によりかなり明るくなっています。デジタルカメラでおなじみの解像度もおなじでかなり見えやすくなってきました。

最初は戸惑われる先生方もおられるようですが、基本的には操作方法も口からのカメラと同じです。違和感があるとしたら鼻腔内を通ることです。鼻の穴が狭く通らない方もおられますが、頻度はとても少なく100人に1人おられるかどうかです。また、まれに鼻血が出ることもありますが、すぐに止まります。

内視鏡を使った治療には鼻カメラは使えませんが、普段のスクリーニング的なカメラの場合は問題なく使えると思います。

結論から言うと鼻カメラでも今までのカメラと同等と思われます。

逆に耳鼻科でもちいるファイバースコープと原理は同じなので咽頭(のど)の情報は口からのカメラより鼻カメラの方がよく見えることがあります。

第64回日本消化器外科学会総会

近畿大学医学部外科学教室は2009716日~18日に大阪国際会議場・リーガロイヤルホテル大阪で第64回日本消化器外科学会総会を開催します。

 

 学会ホームページ

http://www.med.kindai.ac.jp/surg/congress.htm

胃潰瘍か胃癌か

胃内視鏡検査で胃に腫瘍が見つかることがあります。問題になるのが陥凹性病変の腫瘍です。ある程度見た目で悪性か良性か(胃潰瘍か胃癌か)は判断がつく場合がありますが、最終診断ではどうしても病理組織検査が必要です。肉眼所見で潰瘍が強く疑われたのに病理組織検査では癌であったということもあります。逆の場合もあります。

しかるにポリープのところでもありましたが、病理組織検査が重要になります。

 

病理組織検査を行うためには生検が必要です。内視鏡の側口(細い穴)から生検鉗子を入れて胃粘膜の組織をかじりとります。もちろん鼻カメラでも可能です。

組織をホルマリン固定して特殊な染色を行い、病理医が判断しますので結果が出るまで7日~10日間かかります。

胃カメラを受け、生検をされた方は後日必ず主治医に結果を聞くようにしてください。

ワルファリンと胃内視鏡検査

近年、不整脈とくに心房細動の塞栓症予防のために抗凝固療法が注目されています。

非弁膜性心房細動の患者さんは一般の人より約5倍の塞栓症リスクがあるようです。塞栓症で代表的なのは脳梗塞すなわち脳卒中です。それを予防するために抗凝固療法が行われます。すなわち血液を血管内で固まりにくくします。その代表の薬剤がワルファリンです。

 

そこで問題になるのは抜歯や内視鏡での生検など出血をともなう処置を行うときです。以前は何日か前に内服を止めて抜歯や内視鏡検査をしていました。最近の研究で、急にワルファリンを中止した患者さんの中で約1%の人に重篤な脳梗塞をおこすことがわかりました。そこで抜歯は外部からの圧迫止血ができるのでワルファリンをとめずに行うことが奨励されています。

内視鏡検査での生検は止血操作が困難な場合がありますので、各施設でいろいろ意見が分かれるところです。肉眼でもある程度、胃潰瘍か胃癌かは判断がつきますが、最終診断はやはり病理組織検査に委ねられます。

当院の基本的な方針は通常の胃内視鏡検査はワルファリンはとめずに行い、どうしても生検が必要な場合は、後日内視鏡センターなどがある病院において手術に準じた方法で行うように依頼するのが最良だと考えています。

糖尿病のインスリン療法

昔は糖尿病でインスリン注射を始めるとなると糖尿病の末期状態でどうしようもないと思われがちでした。現在はインスリン療法の考え方もかなり変わってきたようです。

 

糖尿病の治療では、良好な血糖コントロールを保つことがとても大切です。数々の糖尿病薬を内服していてどうしても血糖値やHbA1cが下がらない状態が長期間継続していると数々の合併症を起こしてきます。

また、インスリン療法の開始が遅れると膵臓のインスリン分泌細胞の破壊が進んでいくようです。

 

患者さん自身の血糖コントロールが悪いからインスリン注射までしなくてはいけないと思われがちですが、逆にコントロールを良くするためにインスリン注射をすると考えたほうがいいかもしれません。今までがんばっていた膵臓のインスリン分泌細胞を少し休ませてあげるとも考えられます。

 また、一度はじめてみてどうしても続けられなければ中止しても悪くはないと思います。

 

インスリン療法の導入基準はHbA1c7.5-8.0%です。使うインスリンの種類は何種類かありますのでその人にあったものを選ぶ必要があります。

 

ダンピング症状(症候群)とは

今回は胃の手術後の後遺症であるダンピング症状についてです。

胃を切除すると食物を貯留する機能が低下して食べたものが小腸に早く流れこむようになります。そのために起こる症状がダンピング症状です。正確には早期ダンピング(食後30分以内)と後期ダンピング(食後2時間)に分かれます。

早期ダンピングは食後2030分以内に起こる症状で腹痛、嘔吐、おなかが張る、下痢などの腹部症状とめまい、動悸、冷や汗、眠気などです

原因は食物が急速に小腸に流入することにより過血糖になることと小腸の活発な動きにより小腸に血液が集まってしまうことです。

後期ダンピングは食後23時間で起こる症状で冷や汗、振るえ、脱力感、倦怠感、めまい、眠気などで早期ダンピングと違いおなかの症状はありません。

原因は食後の一過性の高血糖になり血糖を下げようとインスリンが過剰に分泌され、逆に低血糖になることによります。

 

教科書的には治療薬などがありますが、一番の予防法としては食事の仕方です。

ゆっくりよくかんで食べることと食事の1回量を減らし回数を増やすことです。

この症状は胃の手術後だけではありません。普通の胃でも食物が何らかの原因で小腸に流れこむと起こします。

 

いずれにせよ早食いはいけません。

過敏性腸症候群(IBS)とは

がんなどの器質的な疾患が原因でない機能性便通異常の中で、最もよく遭遇する疾患が「過敏性腸症候群(irritable bowel syndromeIBS)」です。

 

症状は、腹痛・腹部不快感と便通異常(下痢・便秘)を長期間持続もしくは悪化・改善を繰り返していきます。日本における成人のISB有病率は12.5%との報告があり患者数は約1,200万人と推定されます。若年層に多く男性では下痢型が多い傾向があります。

 

通勤や通学途中、あるいは大事な会議や試験の前、生活環境の変化などから急におなかが痛くなったり、下痢のためにトイレに駆け込んだ経験はないでしょうか。もしこうした症状が長期間にわたって続くようであればIBSの疑いがあります。ストレスに腸が過敏に反応して便通異常が起こる疾患です。ストレス社会における現代病のひとつといわれており、先進国に多い病気です。

 

IBSのタイプは下痢型・便秘型・混合型・その他に分けられます。多くの場合、ストレスによって症状が誘発されるため、さまざまな症状が現れます。おなかの症状以外に精神症状(不眠、不安感、抑うつなど)や全身症状(頭痛、めまい感、疲れやすい、肩こりなど)が出ることもあります。

 

診断に重要なことはあくまでも器質的な疾患が原因でないということです。とくに大腸がんや炎症性腸疾患を否定する必要があります。そこでアラームサインに気をつける必要があります。

アラームサインとしての病歴として

     50歳以上

     大腸器質的疾患の既往歴または家族歴

     急激な体重減少

     発熱、関節痛、皮疹

     粘血便や便潜血陽性

     夜間就寝中の症状発現                    などがあります。

 

治療は「ライフスタイルの改善」「薬物慮法」「心理療法」となります。ライフスタイルの改善で重要なことは決まった時間に3食をしっかりとることです。特に朝食は抜かずにしっかりとりましょう。十分な休息・睡眠をとり、ストレス解消に心がけましょう。薬物療法はいろいろな薬剤が使われます。

 

下痢・便秘を繰り返すようであれば早めに医師に相談してみて下さい。

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